体幹は「固める」のではなく、使いこなす
第2回|プランクを続けても、動ける身体になるとは限らない
「体幹を鍛えるなら、まずはプランク」
そう考えている方は多いと思います。
もちろん、プランクは体幹を鍛える基本的なトレーニングです。しかし、長く姿勢を維持できるようになったからといって、日常生活やスポーツの中で体幹を正しく使えているとは限りません。
なぜなら、人間の身体は、止まったままではなく、常に動いているからです。
歩く、しゃがむ、立ち上がる、物を持つ、振り返る。
これらの動作では、体幹を固め続けるのではなく、動きに合わせて力を入れたり抜いたりする必要があります。
体幹に本当に必要なのは、固さではありません。
動きに合わせて身体を安定させる力です。
「固い身体」と「安定した身体」は違う
体幹が強いと聞くと、身体がブレず、いつでも腹筋に力が入っている状態を想像するかもしれません。
しかし、力を入れ続ければよいわけではありません。
必要以上に身体を固めると、呼吸が浅くなり、肩や腰にも余計な力が入ります。そのまま動こうとすると、背骨や股関節が十分に動かず、腰や膝などが動きを補うこともあります。
安定した身体とは、まったく動かない身体ではありません。
必要な場所を安定させながら、必要な場所は自由に動かせる身体です。
たとえば、歩くときには左右の脚が交互に前へ出ます。それに合わせて骨盤や背骨、肩も自然に動きます。
体幹をガチガチに固めてしまえば、この連動が失われます。
大切なのは、ブレないことだけではありません。
動きながらバランスを保ち、崩れても戻れること。
これが、実際の生活で使える体幹の強さです。
呼吸も体幹の一部
体幹トレーニングでは、腹筋の力ばかりが注目されます。
しかし、忘れてはいけないのが「呼吸」です。
私たちは息を吸うときに、胸やお腹、背中を広げます。息を吐くときには、それらが自然に縮みます。
つまり呼吸のたびに、肋骨や横隔膜、腹部の筋肉が働いています。
ところが、頑張ってお腹を固めすぎると、呼吸が止まったり、肩だけで息をするようになったりします。
それでは、日常で使える体幹とはいえません。
重い物を持つ瞬間など、一時的に力を入れて身体を守ることは必要です。
しかし、いつでも全力で固める必要はありません。
楽に動くときは自然に呼吸し、大きな力が必要な瞬間にはしっかり支える。
この切り替えができることが大切です。
背骨・骨盤・肩甲骨はつながっている
体幹は、一つの筋肉だけで働くものではありません。
呼吸、背骨、骨盤、肩甲骨、股関節などが連動することで、身体はスムーズに動きます。
たとえば、腕を上げる動作。
腕だけが動いているように見えますが、実際には肩甲骨や背骨も一緒に動いています。
肩甲骨や背骨が動きにくければ、その不足を肩や腰が補おうとします。その状態で重さを増やせば、一部に負担が集中しやすくなります。
スクワットも同じです。
脚の力だけでなく、足裏で地面を捉え、股関節を動かし、骨盤と背骨を安定させる必要があります。
一つの部位だけを鍛えるのではなく、身体全体をつなげる。
それが、体幹トレーニングの本質です。
筋力より先に、身体の使い方を整える
筋力を高めることは大切です。
しかし、身体をうまく使えないまま負荷を重くすると、得意な筋肉ばかりが頑張り、本来使いたい部分が働かないことがあります。
だからBell&Goldでは、いきなり重いものを持たせるのではなく、まずその人の動きを見ます。
呼吸は止まっていないか。
足裏で地面を感じられているか。
骨盤や背骨は動いているか。
肩や腰に力が入りすぎていないか。
同じトレーニングでも、身体の使い方によって意味は大きく変わります。
大切なのは「何をやったか」だけではありません。
どのように身体を使ったかです。
目指すのは、動きの中で使える体幹
体幹トレーニングの目的は、プランクの記録を伸ばすことではありません。
立つ、歩く、しゃがむ、持ち上げる。
こうした動作を、より安全に、より楽に行える身体を創ることです。
室伏広治氏の考え方から学べるのも、筋肉をただ強くするのではなく、自分の身体を感じながら、その力を正しく動きにつなげることの大切さです。
身体のどこに力が入っているのか。
どこが動き、どこが支えているのか。
自分の身体を感じられるようになると、トレーニングの質も変わります。
体幹は、固めるものではありません。
動きに合わせて働かせ、全身の力をつなぐものです。
強い身体とは、力み続ける身体ではない。
必要な瞬間に、必要な力を出せる身体です。
Bell&Goldが目指しているのは、見た目だけの強さではありません。
日常の中で動けること。
変化に対応できること。
そして、年齢を重ねても自分の身体を信頼できること。
その土台を創ることが、本当の体幹トレーニングだと考えています。
